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1998年9月 1日 (火)

第三試合:猪木、藤波、そして。。。

<前置き>
これは発行部数9000部を誇る夕刊プロレスというメールマガジンに「KING OF SPORTS」というタイトルで不定期連載しているコラムです。ここにアップするように多少の手直しが入る可能性もありますが。
</前置き>

私は新日ファンである。私が好きな新日とはいわゆる新日ストロングスタイル。そして当然アントニオ猪木。が、私が思うに、猪木のスタイルは新日ストロングスタイルではない。いわゆる新日ストロングスタイルの体現者はやはり藤波であり、木戸であったりする。行ってみれば金曜8時のころのTV第一、第二試合と言うところ。当時、そのスタイルをぶち破ったのが長州のパワーファイトだった。私は当然そのファイトに魅了されました。その時はそれがオンリーワンだったから。

時はながれて現在、新日本プロレスに私の好きなストロングスタイルはほぼ存在しない。主流は一度新日から離脱したはずの長州に似た、力で押しまくるスタイル。まぁ、藤波のケガが、とか政治的な話はさておき、基本的にこのスタイルのレスラーは、相手の力を引き出し、試合を組みたてることが出来ない。長州ですらそう。藤波や天龍のように、受け切ってくれる相手がいた時にのみ、よさが発揮される。今の新日の長州の子供たちの中に試合を組み立てられるレスラーなんていない。当然、シリーズを通じたドラマの組み立てなんてまったくできない。本当は西村に育ってほしいのだが、それもまだまだ、というかそんな日が来るのかすら不安になる。永田もあぶないよなぁ。

しかし現在は明らかに昔闘魂三銃士と呼ばれた男たちの時代である。いくら長州がかわいがり、フロントが押しても、佐々木健介はまだまだ。闘魂三銃士がトップクラスに近づいてきた時、私は3人をこう評価した。猪木の「力(強さ)」は橋本、「華」は武藤、「技」は蝶野が受け継いだと。3人あわせて猪木、ってとこだ。

橋本は当時よりさらに強くなった。そして狡さもかなり身につけた。武藤は華に加え、ムタをも吸収し猪木の「毒」の部分を身につけた。しかし蝶野はなかなか報われなかった。新日のリングがパワーと見栄えの時代だからだ。新日の「技」の象徴とも言うべきG1を何度取っても、二人には置いていかれていた。蝶野が猪木から受け継いだ「技」には、「狡さ」が含まれている。白い時代から蝶野はうまかったしずるかった。
#と、ここまで書いた時点で大阪大会のビデオを見た。

蝶野は後にヒールとなった。昔のヒールとは違う。この御時世のヒールは、悪くてかっこいいやつのことだ。黒い蝶野は有能なブレインヒロ斎藤、パワフルで、かつなんでも出来るがゆえに伸び悩んでいた天山らをうまくコントロールし、ついにはnWoジャパンを名乗るに至った。nWoはいうまでもなく、世界最高のヒール/ヒーローの称号。ここにきて蝶野は「技」に続いて「華」、黒い華を身につけた。そしてついに、もう一人のパワー型新日に乗り切れていなかった武藤を盟友として迎えた。

が、まだ蝶野にはまだ不足があった。そう、新日の「力」の象徴、IWGPヘビー級のタイトルである。G1を「技」の象徴と書いたのは、リーグ戦、トーナメント戦を戦い抜くには「力」だけではだめだから。しかしどうしても蝶野には取れなかった。が、そこに最大のチャンスが巡ってきた。藤波へのタイトル挑戦だ。「力」、「華」、「技」を併せ持ちながら、狡さのかけらもない人の良さ、そしてタイミングの悪さにより、長州に新日の主導権を奪われた藤波が、再び表舞台へと上がった。長州の出来の悪いコピー健介からタイトルを奪い、橋本、天山と防衛してきたが、この3人はいわゆる「力」。藤波にとっては「技」で丸め込める組みやすい相手。一番恐いのは「技」で引けをとらない武藤と蝶野。そして蝶野には藤波に負けない粘り強さ、はるかに上回る狡さがある。

そしてついに蝶野がIWGPのベルトを巻いた。ついに「力」の象徴を身につけた。この二人の試合、明らかに私のもとめる新日スタイルだった。技と技の攻防。時には激しいぶつかりあい。これなんだよ。どたばた走り回るラリアートも、カラテもどきのキックも、力任せのパワーボム、DDTもいらない。キーロックや4の字固めが説得力を持つ試合だ。急所蹴り?猪木だって顔面殴るぢゃない。あれで勝負が決まったわけではないし。蝶野の今の3つの大技、STF、羽根折り固め、そして監獄固め、どれをとってもいかにもプロレスといった間接技。反則なんてただの味付けだ。

本当にプロレス界のことを考えてるレスラーって、今蝶野と冬木しかいないのではないかと思っている。冬木も自分のビジョンにそって徐々に地盤を固めている。蝶野はついにIWGPチャンピオンとなった。次ぎはノートンとの防衛戦。今の新日では唯一であろう、外人を活かせるレスラー蝶野がどんな試合をするのか。そしてどんなチャンピオンになっていくのか、本当に楽しみである。あぁ、昔のようなルールにならないかなぁ、反則防衛とかリングアウト防衛とかでもいい、ヒロ斎藤の乱入でもいい。蝶野の長期政権をみてみたい。その時こそ、本当に昭和のプロレスが終わるのかもしれない。

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コメント

もう橋本も冬木もいない。
くしくもこの二人がなんとも言えない
関係を持って旅立っていってしまった。

で、今考えて見ると、蝶野が一番まじめで、
それで貧乏くじ引いたのかも。
さっさと見切りを付けて全日に君臨してる
武藤が一番おいしいかも。

投稿: ごるご十三 | 2005年12月 2日 (金) 16時22分

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