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2007/11/25

GT煩方Kenne助 第1回 横浜の『E』

<Kenneth.Kです>

『これはいかぬ。』『これはいかぬ。』

その日、Kenne助は何かの呪文のように呟きながら横浜の町を歩いていた。

GT煩方(うるさがた)の初の任を全うするべく

憧れの長谷川平蔵殿の決め台詞

『これはいかぬな。』

を、口に出したくてしょうがない。

そういった風体が服を着て草鞋を履いて歩いている。

そのような状態のKenne助である。

行く先は横浜の『E』

小さい店ではあるがキビキビとした動きで

仕事をこなすバーテンダーを見ているだけでも気持ちのよい店である。

Kenne助は初の任にこの店を選んだのである。

2階に構えるこの店には入るには道から入る急で細く長い階段を上っていく。

『さぁ、ここで「これはいかぬな。」するのだ』

と思うが早いか、階段を5段あまり残したところで店の戸が開く。

『あ、いらっしゃい。なんだ、Kenne助か。』

『なんだとはなんでぃ。こっちは客で来たんだ。』

『まぁ、中へ』

しまった。ここで平蔵殿ならば

長谷川平蔵と知ってのことか。

と言って左の腰に手を回していに違いない。

と、Kenne助は思ったが後の祭りであった。

無論、Kenne助の腰には下げているものなどはないのであるが。

かようなやりとりを交わした後に店のやどりぎに腰を落ち着けるKenne助であった。

『陣戸肉でいいのかね?』

『うむ、陣戸肉をひとつもらおうか』

そう言った瞬間にバーテンダーの顔にはわずかに疑問が映ったが

すぐさま振り向きグラスを取り出し、冷凍庫から氷と牛食男の瓶を取り出し始めた。

『ふぅ、危うくGT煩方とバレる所だったぜ。』

そう胸で思ったKenne助であったが、

町人、しかも下の方に属する町人であるKenne助がそのような言葉使いでは当然あろう。

かくして、大振りの角氷に挟まれる形でライムが入ったグラスが目の前に置かれた。

『おまちどおさん。』

『うむ、貰おうか。』

押さえつける気合ばかりが空回りするに気づかぬのか

不自然にグラスを持ちつつも口をつける。

鼻でライムを感じつつ、口内で陣と戸肉の感触を楽しむ。

申し分ない、階段を肝を潰したせいか分からぬが

ライムの香りのさわやかさと牛食男のクセのない風味を

三鳥居の戸肉の泡と共にはじける。

『ふむ、これは・・・』

『これは・・・』

『これはいけるな。』

しまった。

と、Kenne助は思ったが遅かった。

いかぬな、と言うために来た筈であったが

陣戸肉に目がないKenne助のこと

陣戸肉であれば満足してしまうのであった。

ぬかった。

平蔵殿はこのような失敗をすることはないであろう。

ただしくカレーうどんを改めるに違いない。

Kenne助はその後、ふがいなさと共に杯を重ねたのであった。

『そういえばまた出たらしいですね。』

しばらくの後、

そう言って話の口火を切ったのはバーテンダーであった。

『出たってなにが?』

『大鱚 剣之介(漢字、こうでしたっけ?)ですよ。』

大鱚 剣之介、Kenne助も当然知らぬ名ではない

賊でありながらその成果のほとんどを瞬く間の後に

恵まれぬものたちに配ってしまうという。

そういった経緯からこの界隈では知らぬものはいないと言う。

それだけではない。

Kenne助は平蔵殿の改め記録の中でもその名を確認していた。

御流後の十三とも懇意にしているともいわれ

平蔵殿の記録によると一緒にいるところを

すんでのところまで追い詰めたとある。

『そういう賊ながらも立派なお方がいるっていうことだな。

 陣戸肉ばっかり飲んでないで人様のお役立つことをだな』

『それが客に言う台詞か』

言い返しつつも

『これはいかぬな』

しか、頭にないKenne助であった。

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コメント

これは
陣戸肉改め方長官
鬼のKenne助様(略しておにけね)
もしやして
シリーズ化?
ふむふむ
それは楽しみな

ところで
陣は肉食男より豪丼か丹彼
できれば凡米左派厭がよいかと
それに
戸肉は三鳥居より宇煎金村はよいかと・・・
え?
ほっといてくれ?

これは失礼いたした
陣戸肉となるとついつい口を挟みたくなる
いや
これはいかぬな・・・

投稿: 平蔵 | 2007/11/25 23:00

あっしの聞いたところによりやすと・・・

御流後の十三は、神戸の山中に潜み、
時折神戸の街中を散策される平蔵殿の
隙を伺っているとかいないとか。。。

投稿: ごるご | 2007/11/26 14:39

御流後の十三様

あした(今日か)ひるごろヒマですか?
え?
いそがし?

投稿: sasaki | 2007/11/27 02:19

平蔵殿の隙を伺うどころか、神戸山中での
ヤマが山場を向かえ、本日中に根城に
戻れるかどうか、という有様にござりまする。

誘いに乗って討ち入りたい気分はやまやまで
ござりまするが。。。

投稿: 御流後の十三 | 2007/11/27 11:45

おぉ!!
これはこれは平蔵殿。
自ら足をお運び頂き、かたじけない。

と、かたっくるしいのはここまで。
おれぁ腰にさすもんもねぇ、ヨタモンでさぁ。

平蔵殿の通り名の

を貰うほど、立派なもんじゃござんせん。
GT煩方もヨタモンの戯れで
ただのKenne助で結構でさぁ。

今回の件だって
陣が肉食男なら
これはいかぬ
と、びしっと決まると思ったんでさぁ
だが、そうは問屋はおろさねぇ。
つい、いつもクセで飲みほしちまったって有様で。
鬼・失格ってことでさぁ。

豪丼も丹彼も陣ならば
凡米左派厭も陣。
いつかはそのような陣戸肉に
出会うことであろうでさぁ。
しかるに
三鳥居も戸肉なら
宇煎金村も戸肉。

さすがは本家改方鬼平でさぁ
陣戸肉にもぬかりがねぇでござんすな。

あ、しかし
凡米はよしとしても
左派はいささかに誤解ありかと。


おぉ、御流後の兄貴
ご無事でしたか。
なるほど、最近は神戸山中に。
ふむ、また御流後兄貴の
蒲田行進曲が聞きたいものですなぁ。

投稿: Kenne助 | 2007/12/09 18:45

おおー、生の(?)
『これはいかぬ』
だ!!

さておき
普段、時代小説を読まないので
こういった文体はまったくかけないのであります。

つたないながら
あと何本かは書いてみたい思っております。
お付き合いくださいませ。
(ってすでに弱気じゃん。)

投稿: Kenneth.K | 2007/12/09 18:47

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