とある日
<Kenneth.Kです。>
相模の国のとある通りを一本入ったところで一人の男が佇んでいる。
男は小柄ではあったが立ち姿には力強さがある。
その力強さからは裏腹に表情はやさしく、人懐っこさを感じさせると言っていい
その柔和な目をときおりしばたたかせるように空を眺める。
そこへ、御高祖頭巾を被った女が通りかかると
まるで申し合わせたかのように男は女のあとを追うようにして歩き始めた。
女は生垣を曲がったところでフッと姿をくらましてしまったが
男は別段気に留める様子もなく、そのまま歩を進め
通りに出る手前で立ち止まるとそこへある蔵へと入っていった。
『大鱚、待たせたな。』
『倉掛か、気にするな、俺もいま来たところだ。今日呼び出したのは他でもない。』
『と言うと、平蔵のことか。』
『うむ、知っていたか。そうだ、ついに平蔵がこの相模の国を飛び越し仙台藩に現れたそうだ。』
『瓦版で読んではいたがやはり本当だったのだな、あの平蔵がみちのくのカレーうどんまでを改めたというのは。それでお主どうするつもりだ。』
『そうだ、倉掛、お前を呼んだのは他でもない。平蔵がみちのくに現れたということはこの相模もすでに奴の手中にあるのかも知れぬ。そして、千林の御流後の十三が気になる。まずはお前の鳩を千林に飛ばしてくれ。』
『それは構わぬがそれだけでよいのか。』
『うむ、本来ならばすぐさまにでも動きたいところではあるがどうにも丸宗田に当たったらしく、体がすぐれぬのだ。まずは体を治すのが先だ。』
『おぬしも丸宗田が好きだからのぉ。致し方あるまい。養生いたせ。鳩は戻り次第連絡いたす。ならばこれで。』
『倉掛よ、いつもすまぬな。』
ろうそくの明かりにともされた男の腕にはたしかに異様な腫れが浮き上がっていた。
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コメント
mmmm
ナニを企んでおるのやら...
投稿: heizou | 2007/12/08 20:50
heizo
なにかあるのでしょうかねぇ?
なにぶん、東の国も昨今は物騒であるがゆえ。
投稿: Kenneth.K | 2007/12/09 18:49