昨日はココログメンテナンス中でかけなかったので、2本まとめて。って、2つとも昨日読み終わってたんですがねぇ(苦笑)。つーか、書評ならあっちのほうに書くべきなんですが。。。まぁ軽めなのでこっちに。
その1:森鴎外「阿部一族」
うーん、微妙。時代小説の傑作、って書いてあったけど、これ傑作?殉死という習慣があって、殉死しても無駄死だし、殉死しなくても、しなかったことを暗に批判されて、結局無駄に腹切って、さらにそのことを責められた一族が反乱起こして鎮圧されて、結局全員死んで、というお話。
何がつらいかってーと、出てくる殉死する人しない人、そのすげぇ多くの人が何の何某の子で、、、とか説明がいちいち入る。三国志の有名武将ならともかく、一回しか、しかもちらっとしか出てこない人の出生を全て説明されても。。。という感じになります。
書かれたのは大正二年。明治天皇崩御のおり、かなりの人が殉死されたという。近代と呼ばれる時代になってもそんなことを、という憤りから書かれたんだろうなぁとは思うけど、ストーリーとしてはまったく面白くない。
一つ興味深かったのは、先代に仕えた名将が次代を支える、というのも必要だけれども、そういう人たちもさっさと退いて次の世代に代わるべき、という考えで殉死を評価する描写があること。
そうそう、会社でも政治家でもさ、殉死(いや、死ななくていいけど)して一緒にやめて、次世代に変わっていくべき、という部分もあるんじゃない?
紙のほうはこちら
その2 岡本綺堂「玉藻の前」
阿部さん一家を読み終えた後、つーか、もうちょっと続くもんだと思ってたのにあっさり終わったため、次に読むもののチェック(えぇ、文学史年表の赤字)してなくて、どうしようかと考えたあげく、あれこれ選択肢に答えるとお勧めを選んでくれる機能を使ってみた。そしたら出てきたのがこれ。
どっかで作者の名前聞いたことあるなぁ、という程度で全然知らない。読み始めて、一瞬デジャビュ。将来を意識しあった幼馴染の少年少女。それがあるきっかけで、少女は公家に仕えることになり、少年は世をはかなんで。。。って「金色夜叉」かよ!と思いきや、そっから話は「帝都物語」へ!いや、まじで。
時は平安、少女の父の病気平癒の祈りのために、毎晩清水寺へ通う二人。ある夜、事件が起こり、それがきっかけで少女は人が代わって。。。えぇ、帝都(京都ね)転覆を図る加藤に!いや、それは冗談ですが、ようはとりつかれちゃうわけ。
で、少年は悪徳高利貸しになるわけではなく、安部晴明の子孫である陰陽師の当主に救われ弟子となる。えぇ、いい指導者に恵まれたわけです。そっからいろいろな闘いが繰り広げられます。激しい戦闘シーンがあるわけではないですけどね。
そりゃもう面白いですよ。そして、、、切ないですよ。最後の作品紹介を見て驚いたのですが、これも大正ごろの作品なんですよね。もう充分現代でも通じます。陰陽師とかの流行もありましたから、そのまま映画化しても、切ない恋の物語+陰陽師ものとして、充分に。アレンジなしでもね。
作者は西洋の伝奇小説からヒントを得て、これを書いたらしいですが、後にホームズ物を原著でまとめて読んだのをきっかけに「半七捕物帖」を書いたらしいです。なるほど。西洋のファンタジーなんだな。古さを感じさせないわけだ。というか、今、いかに進歩してないかがよくわかる(苦笑)
あぁ他のも読んでみたいな。青空文庫に一杯あるから、ダウンロードしてみようかな。
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